現在も海外のオルタナティブ・シーンにつながる地平で活動を続ける女性ボ
ーカリスト・天鼓とカムラ。その2人がかって在籍したバンド・水玉消防団は
2枚のアルバムをリリースしており、本作品は2枚目にあたる。
世間的には、パンクの初期衝動を凝縮したような1st(『乙女の祈りはダ
ッダッダ』)の方が評判が良いようであるが、筆者としてはこの2ndの方が、
一聴したとき、その衝撃度が桁違いに高かった。(もちろん1stは1stで
また愛着があるのだけれども)。
1stとの大きな違いは、パンク色を内包しつつも、かなり即興に近いノリ
が濃くなっていることがあげられる。これはスタッフに竹田賢一やフレッド・
フリスなど錚々たるメンツが加わっていることもあるが、やはりテクニックの
向上ということが看過できない。単純に言って、技術的な向上が彼女達の欲望
をより自由に表出する方向に働いているようだ。一曲一曲の構成はかなり複雑
さを増しているが、どれもエッジは鋭く、内と外とを反転させるような攻撃性
と緊張感に貫かれている。