しょっぱなからカナダの超マイナー級シンガー・ソングライター、ロバート・レスター・フォルサムの奇跡的名曲“My Stove's On Fire”のカヴァーという、いきなりの奇襲! 堀込泰行のソロ・プロジェクト=馬の骨、満を持してのアルバムは、冒頭のカヴァーやオルタナ度強めのバンド・サウンド、トークボックスを駆使した軽やかなグルーヴ・チューンなどなど、キリンジでは実現不可能なアイデアが雑多に散らばった作品となった……って、ソロ作品だから当然といえば当然なのだが、わりと自由なスタイルで名曲を生み出してきたキリンジでも許容しきれないほどのアイデアを閃かせ、その欲求を作品化するまでに至った泰行のミュージシャンシップには賛辞を送らずにいられない。ほとんどデモ状態のエルヴィス・プレスリー“I Want You, I Need You, I Love You”のカヴァーではオトコっぷりも大いにアピール。これは骨まで愛したい一枚だ。